蝶々の対比

百年の粘膜接触により完全に一体となった私達、細胞が一つになるまで幾度も交わり、遂にその最終形態まで辿り着いた。
『いつまでも、一緒にいようね』
甘い頃に交わした約束は永遠となった。もう、二人を邪魔するものなどいないのだ。何故なら、二人は一つなのだから。
互いの欠損も混じり合い平均的な美しさとなり得た。遺伝子が全く同じ構造をしている思うと、半透明の子宮から熱のようなエネルギーが暴発する。精子は蒸発し、私達の誕生を喜んでいるようだ。
呼吸は生命を育む。その生命とは、幸福という概念なのだ。世紀末の最大幸福を手に入れた私達は、今日も脳内で愛を交わす。